NEWS No.８(2024年度)
藤木純平講師が日本獣医学会より2024-2025年度獣医学奨励賞を受賞しました。

本学獣医学群獣医学類の藤木純平講師（獣医生化学ユニット）が、日本獣医学会より2024-2025年度獣医学奨励賞を受賞しました。（獣医学奨励賞は、獣医学の進歩に寄与する優れた研究を行い、なお将来の発展を期待し得る日本獣医学会員に対し1回に限り授与されるものです。）

受賞業績

薬剤耐性菌に対するバクテリオファージ感染機構の解析とその治療応用に関する研究

今後、2024年9月11日(水)に帯広畜産大学において授賞式が執り行われます。
受賞した藤木講師からコメントをいただきました。

　この度は大変名誉ある日本獣医学会獣医学奨励賞を授与頂きまして本当に有難うございました。ご指導頂いた先生方、共同研究者の方々、そして日本獣医学会の関係各位に心よりお礼申し上げます。
　抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が顕在化した今日、このまま対策を講じない場合には薬剤耐性に関連する死者は2050年に年間1,000万人にも及ぶと見積もられています。こういった背景の中で薬剤耐性菌を殺菌できる「バクテリオファージ（ファージ：細菌だけに感染するウイルス）」を用いたファージセラピーに大きな期待が寄せられています。特に私たちの研究では、ファージ感染をスイッチとして薬剤耐性菌の抗菌薬感受性をコントロールするための分子基盤を見出しました。この様な仕組みを更に発展させ、薬剤耐性感染症に苦しむ動物たちをファージで救えるように、また、ヒト医療や公衆衛生にも広く貢献できるように、今後も研究を推進して参ります。

今回の受賞業績に関連する主な論文発表

1) Fujiki J*, Nakamura K, Ishiguro Y, Iwano H. Using Phage to Drive Selections Towards Restoring Antibiotic Sensitivity in Pseudomonas aeruginosa via Chromosomal Deletions. Front Microbiol. 2024.(https://www.frontiersin.org/journals/microbiology/articles/10.3389/fmicb.2024.1401234/full)
2) Fujiki J, Schnabl B. Phage therapy: Targeting intestinal bacterial microbiota for the treatment of liver diseases. JHEP Rep. 2023. (https://www.jhep-reports.eu/article/S2589-5559(23)00240-9/fulltext)
3) Fujiki J, Nakamura K, Nakamura T, Iwano H. Fitness Trade-Offs between Phage and Antibiotic Sensitivity in Phage-Resistant Variants: Molecular Action and Insights into Clinical Applications for Phage Therapy. Int J Mol Sci. 2023. (https://www.mdpi.com/1422-0067/24/21/15628)
4) Fujiki J, Nakamura T, Nakamura K, Nishida K, Amano Y, Watanabe Y, Gondaira S, Usui M, Shimizu M, Miyanaga K, Watanabe S, Iwasaki T, Kiga K, Hanawa T, Higuchi H, Sawa T, Tanji Y, Tamura Y, Cui L, Iwano H. Biological properties of Staphylococcus virus ΦSA012 for phage therapy. Sci Rep. 2022. (https://www.nature.com/articles/s41598-022-25352-6)
5) Nakamura K and Fujiki J*, Nakamura T, Furusawa T, Gondaira S, Usui M, Higuchi H, Tamura Y, Iwano H. Fluctuating Bactriophage-induced galU Deficiency Region is Involved in Trade-off Effects on the Phage and Fluoroquinolone Sensitivity in Pseudomonas aeruginosa. Virus Res. 2021. (https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168170221003038?via%3Dihub)